当院では「口臭外来」を新たに始めました。
歯科で口臭外来って当たり前のように感じるのですが意外と行っている歯科医院は多くはありません。
なぜかといいますと、
揮発性有機化合物(VSC)3種類を定量的に測定する機器を導入している歯科医院が多くないんです。
この度、コニカミノルタ製の口臭検査機器を導入したことで、今までは官能試験(直接鼻で匂って確かめる方法)に頼っていた口臭の判定を客観的に数値で評価できます!
歯周病の検査でもそうですが(これはまた別の記事で書きますね!)、歯科の検査は意外と感覚に頼る主観的なものが多いのも事実です。
しかし、この機器を用いれば、客観的にかつ定量的に評価することが可能です。
今、マスクが必須な時代で、口臭が気になる方も多いかと思います。
その自分で感じる口臭が他人に不快感を与えるレベルなのかどうかを判定してみませんか?
また、自分では気づかないけど、家族などから指摘される場合もあるかと思います。
もし、本当に臭っているのならば、なんらかの治療が必要なこともあります。
それが、口の中が原因なのか、体の中から臭ってきているのかも揮発性有機化合物(VSC)1種類ごとに特徴がありますので判断可能です。
VSCには「硫化水素」や「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」などが知られています。
今から、その口臭の種類について詳しく解説してみます。
口臭には大きく分けると3種類存在します。
① 真性口臭
② 仮性口臭
③ 口臭恐怖症
そのうち、
② 仮性口臭は社会的容認限度を下回る、いわゆる自分だけ臭う状態です。他の人には悪影響は及ぼしません。
③ 口臭恐怖症は臭う、臭わないという問題ではなく臭うのではないかということ自体に恐怖する状態のことを指します。
実際に匂いで問題となるのは① 真性口臭ということになります。
真性口臭は、社会的容認限度を超える明らかな口臭が認められるものをいいます。
そして、真性口臭には分類があり、、
A 生理的口臭
B 病的な口臭
a 口腔内原因
b 口腔外原因
C 外因的口臭
に分けられます。
そして、
生理的口臭は「硫化水素」
病的な口臭のうち口腔内原因は「メチルメルカプタン」
病的な口臭のうち口腔外原因は「ジメチルサルファイド」
の数値が高くなります。
外因的口臭はにんにくやにらなどの食品や、飲酒、喫煙などが原因の口臭です。
このVSCを計測することで何が原因の口臭なのかを突き止めることが可能です。
次にそれぞれに対する治療は何を行うかというと…
国際分類に基づく治療必要性(Treatment Needs:TN)というものをあてはめます。
TN1:説明および口腔清掃指導(セルフケア支援)
TN2:専門的清掃(PMTC)、疾患治療(歯周病など)
TN3:医科への紹介
TN4:カウンセリング(結果の提示と説明)、専門的指導、教育
TN5:精神科、診療内科などへの紹介
となり、それぞれ以下のようにあてはめることが可能です。
分類 |
定義 |
治療指針 |
真性口臭症 |
社会的許容限度を超える明らかな口臭が認められるもの |
口腔清掃指導:TN1 |
|
生理的口臭 |
舌苔や、口腔内の食物残渣、口喝時の臭いなど |
病的口臭 |
口腔内由来 |
口腔内の原疾患(歯周病、粘膜の炎症)、
器質的変化、機能低下などによる口臭 |
専門的清掃:TN2
歯周治療等:TN2 |
口腔外由来 |
耳鼻咽喉、呼吸器系疾患、内科疾患など |
医科へ紹介:TN3 |
仮性口臭症 |
患者は口臭を訴えるが社会的容認限度を超える口臭は認められず、検査結果などの説明により訴えの改善が期待できるもの |
カウンセリング
指導・教育:TN4 |
口臭恐怖症 |
真性口臭症、仮性口臭症に対する治療では訴えの改善が期待できないもの |
精神科・心療内科へ紹介:TN5 |
このように考え、口臭は治療を行います。
ぜひ気になる方は、スタッフに声をかけてくださいね。
口臭検査は1回3300円(税込)、2回目以降2200円(税込)で、保険適応外となります。